歯科マーケティングの[RPF]って何?

歯科Webマーケティング | 2013年1月21日
今回は、大きな組織が発注する大規模なWebサイトやシステム開発を行う時に必ず出てくる「RPF」と呼ばれるものを題材に歯科医院が効率よくマーケティング体質になっていくための情報整理方法を解説いたします。

RPFとは提案依頼書もしくは要件提議書と呼ばれています

RPFは発注者がアウトソースのWebサイト制作会社やシステム開発の会社へ向けて「制作依頼をこの条件でお願いします」という「条件」の部分を書面にしたものです。 制作会社や開発会社はその要件(発注者側の希望)、提議(依頼内容を定めた)、書(文章)を見て、プロジェクトのゴールを設定します。出来上がりが「うーん、綺麗なサイトなんだけれど当初の依頼内容と違う・・・」などという、よくある意識の違いをあらかじめ取り除いてくれる便利なツールです。  

RPFを院内の課題を明確にするリトマス試験紙に

例えば、Webサイトをリニューアルする場合やテコ入れをする場合、特に根拠がなくプロジェクトがスタートする場合が多く、院長や担当スタッフの思い付きである事が非常に多い状況です。しかしそれでは、仮説検証型のマーケティングツールとしてWebサイトを活用できているとはなかなか言えずに、内心手応えの無い気持ちを持った院長先生も多いのではないでしょうか。 RPFを活用すると、現状の問題点とその解決方法がまず明確になります。 解決方法を実施した結果、新しい問題が発生したり思ったような効果が得られない事がありますがこれは現状の問題点が明らかであればこそはっきりとわかるものですので一つのアクションに結果が伴わないことそのものはまったく問題になりません。問題は行ったことが「意味があった事なのかなかったことなのか」、判断できないという事です。  

RPFの作り方(問題を明確にする)

RPFはおおむね二部構成になっています。一つは「現状の問題点」そしてもう一つが「解決するために具体的にどうするか、その内容と期間(場合によっては見積金額)」です。 まず第一は「現状の問題点」を明確する事です。ただしこれは「Webサイトの構造に不満な個所がある」というものではありません。この場合の問題点とは医院経営、運営に関しての問題点です。 例えば
  • 純新患が毎月○%減ってきた。
  • 新しいスタッフのモチベーションがなかなか上がらない。
  • 義歯の患者を増やしたいのに小児ばかり増える。
  • 広告の費用対効果がわからない。
など様々な問題があると思いますが、思いつく問題点を書きだしてください。  

RPFの作り方(問題の根本を探し出す)

続いて、書き出した問題点の「根本的な問題は何か」を書きだしてみてください。根本的な問題はあくまでも仮説で結構です。 院内に蔓延する問題の根本を取り除く事が出来れば、医院経営や運営にインパクトのある改革を起こすことが出来ます。 そしてすべての施策(アクション)はその問題点を解決できる内容でなければなりません。   ■解決できるセクションごとに区分け たとえば、新規指導に関しての問題をWebサイトで解決できるケースは少ないと思います。 それぞれの問題をどのセクションなら解決できるのか、セクションごとに区分けを行います。 ・資金繰り(予算管理) ・広告 ・求人 ・人材育成 ・データの整理 などがその区分けの箱になると思います。  

課題を解決する為のアクション

根本的な問題が明らかになり、医院を構成するセクションも判明すれば後は実際に実行すべきアクションを考案し、実行するだけです。 このアイデアの事を「企画」や「ソリューション」と呼びます。私は個人的にソリューションと呼ぶことが多いです。名前の通り課題解決のアクションというわけです。   「何をすべきかわからない」と考えていた院長先生が問題が明らかになると、「それなら解決方法は誰でもわかるよ」と突如開眼し、院内に劇的な改革をもたらす事もしばしばです。 解決方法がわからない場合、わからないのは解決方法ではなくて問題そのものだったという落語のような話が、大多数の場合で繰り返されています。   しかし実際のソリューションは様々な要素が絡み合い、これをやったからどのくらいよくなるなどの成果見込が非常に難しいものです。 したがって、あくまでも仮説という考え方で実行し、その後のデータをより細かく分析する事で、徐々に課題解決のノウハウを医院内に蓄積する事が出来ます。  

課題解決は誰が行うべき?

たとえば、院長がスタッフに、医院がパートナー企業(弊社のような経営支援カンパニー)へご依頼いただく時は、○○してほしいという具体的な変更ももちろん有効だと思いますが、「○○という問題を解決するためにどうすればいいのか?」という問いかけと具体的に人を介して解決していく事が一種のマネージメントであります。 もちろん院長しか解決できない問題も多々ありますが、院長でなくても解決できる問題はスタッフやパートナーに任せるべきです。 よく聞くのは院長のワントップ医院で何もかも院長が行わないとうまくいかないという医院のお話です。これは一個人の才能や実力に組織がおんぶにだっこという状態で、決してマネージメントが行われている状態ではありません。 根本的な問題とその問題が起こっているセクションを明確にしたら、後はもっとも解決できると思われる人に「RPFを手渡す」事で、医院をよりマーケティング体質にする第一歩となります。 もちろん弊社もRPFを共有して医院の課題解決を推進していくことが2013年の大きな抱負と課題だと考えております。